あらゆる面で。
まず、体重は歩き旅に出る前より1kg増えた。
つまり歩き終わってからだと、1か月で3kg増えた計算になる。
胃袋は急に小さくならないのだと知った。
歩かなくなったのに、歩いているときと同じように食べてしまうのだから体重は右肩上がりだ。
これが世に言うリバウンドってやつか。
次に、何もする気が起きなくなった。
あれだけ毎日一生懸命歩いていたというのに、ゴールしてからぱったりと動きが止まってしまった。
旅中は寝る間を削ってまで書いていてブログも、ぱったりと書かなくなってしまった。
これもある意味リバウンド。
南の島でゆるい生活に浸ると、あまりにも穏やかで単調な日々に頭の中までのっぺりとしていずれ何も考えられなくなってくる。
心の片隅で感じていた焦燥感さえ日を追うごとに薄れていき、ついにはその居場所をなくしてしまった。
時間だけが風のように目の前を通り過ぎていき、僕はそれに手を伸ばすこともなくただうつろに眺めているだけだった。
やばい。そろそろ動かねば。
そう思わせてくれたのは、1枚の寄せ書きだった。
旅仲間が開いてくれた祝賀会で浴びるほどおいしい酒を飲んだ僕は、1枚の寄せ書きを手にすることとなった。
それは多くの旅仲間が僕の旅の成功を祝して書いてくれた寄せ書きだった。
北海道から与論まで。
どうやってそれを運んだのかはわからないけど、確かにそこには全国に住む友達からの言葉が記されていた。
胸の奥に熱いものを感じた。
完全に腐りきった心身だったけど、それを正常に戻すための火が、やっとついた瞬間だった。
写真1
激アツな寄せ書き。
写真2
手彫りの島ぞーり。完成度が高すぎてとても履けない。