2010年8月22日日曜日

花より燃料

エンジンとシートが生き返りほっとしたものの、まだまだバイクのメンテナンス作業は山積みです。次なる問題はタンク。これも非常に悩ましい問題です。

イーハトーブのノーマルタンクはなんと4.5リットルのガソリンしか入りません。

4.5リットル!?

少ない!少なすぎです!!バイクを知らない人のために声を大にして言いますが、これは本当に少ないんです!!!2リットルのペットボトルが2本とちょっと。これはその辺を走っているスクーター並みなのです。

そもそもがトライアル車。長距離走行を想定して開発されていないので仕方ありません。しかしスピードが出ないのは良いとして、ガソリンがたくさん入らないのは大問題です。というか死活問題です。これは砂漠の真ん中で途方に暮れるパターンです。

いくら燃費の良いイーハトーブといえど、4.5リットルでは200kmも走ればタンクは空っぽ。ただのくそ重い鉄の塊に成り果てます。
日本なら砂漠なんてありませんから、200kmも走れば必ずガソリンスタンドがあるのでこれまでなんとかやってきました。しかし地平線まで何もないような広大な海外となるとそうはいきません。

ひとっ子ひとり居ないような場所でのガス欠。行くも戻るもできない状況の中、暮れゆく空。忍び寄る闇。そして車が通る気配は全くなし・・・。洒落になりませんよ。予備タンクを持つというのもひとつの解決策ですが、そもそも4.5リットルしか入らないというのがイケナイのです。タンクは大きければ大きいほど安心できます。

せめて300km。できればそれ以上走ってもらいたい。なので8リットル以上のタンクをあれこれ探しました。まず候補に挙がったのは社外製のビッグタンク。それから他のバイクからの流用。シルクロード、XLRなどなど。

社外製ビッグタンクならばイーハトーブ用なので当然すんなり装着できます。しかし年代物のバイクの社外製品などそもそもその存在自体が絶滅危惧です。なかなか見つけられないし、あったとしても中古で、しかも目玉が飛び出すくらい高価だったりします。
なので他のバイクのタンクを流用というのが現実的です。しかしその場合はどこかを加工しなければ装着できません。他のバイク用なのでこれは当然です。
ここで重要なのは、なるべく少ない加工で済ませる、ということです。確かに加工すればなんでも装着できると思います。しかし加工すればするほど壊れる可能性が高い箇所を自ら増やすようなものです。えてして自分で手を加えたところから壊れるというのが世の常。その道もプロならともかく素人が手を加えるのでそれは当然です。

上記を踏まえいろいろ調べた結果、ゴリラのタンクがヒットしました。イーハトーブのすらりとしたシルエットに対し、ころりとしたゴリラのタンクを載せるというのはいかにもミスマッチな感じですが、バイク本体には手を加えることなくフレームマウント部分のみなんとかすれば装着できるというところが決め手になりました。そして9リットルという容量も魅力的です。

早速ネットオークションから品を入手し(新品で5000円くらい、コック付き)、作業を始めました。ノーマルタンクよりも長さが短いのでシート側のマウントはそのまま(タンク取り付け部分のステーを少し削りゴムを張った程度)にし、フレーム側のマウント用にアルミ版を加工してステーを作成。これをエンジンマウント部分のボルトから伸ばして装着しました。

アルミ板を切ったり張ったり穴あけたり。何度となくホームセンターに通い、ステー工作に1週間ほどかかりましたが、なんとかかんとかタンクを装着できました。
かかった費用は以下の通り。(アルミ板やリベット、その他必要工具は有り難いことに知り合いから提供してもらいました)

タンク:6000円(送料込み)
ステー用ボルト&ナット&ゴム:600円
フューエルホース:500円

見た目はさておき(バッタからカタツムリに変身した?)、これで400kmは巡航できるのでなんとも頼もしい限り。それにSIGGのアルミ製フューエルボトル1.5リットルを1本持っていく予定なので500km近く走れる計算になります。これでなんとか砂漠を越えられそう。:p

花より団子。背に腹は変えられないということです。

写真1
このスタイルに惚れて旅の相棒に選んだ。

写真2
はずなのに・・・苦笑

写真3
自作ステー。どれくらいもってくれるだろう。アルミというのがちょっと不安。

2010年8月18日水曜日

別れの歌

「もう、おしまいだね・・・」

あれは去年のこと。


落ち葉舞う季節はどこか人恋しく、いつになく心を感傷的にするもの。


小さなほころびを感じたのは、もうだいぶ前のことでした。それは本当に小さいものでしたが、気づいてしまった瞬間からというものずっと違和感をぬぐうことはできませんでした。それでも僕は、なんとか取り繕うことを選択しました。誤魔化しながら続けようとしました。このままではいつか必ず駄目なる。自分でも最初から分かっていました。だけど、なかなか決心がつかなかったのです。惰性。つまりはそういうことなのでしょう。
しかし、こうもはっきり言われてしまうと、もはやあきらめる以上ありません。

僕は、シートを張り替えることにしました。

30年弱という歳月は、物質を劣化させるに十分な期間と言えるのでしょう。古いバイクというものは、至るところが劣化しています。パッキンやOリングなどのゴム系はもちろんのこと、それはシートにおいても例外ではありません。紫外線を浴び続けているシートは徐々に劣化し、ついには皮部分が破けてしまいます。

最初はほんの小さなほころびでした。とりあえずガムテープで応急処置です。しかし、それは見る見るうちに広がっていきました。もはや一箇所だけが弱くなっているのではなく、一様に痛んでいるのです。仕方ありません。ガムテープでの補強も追いつかなくなってきました。このままじゃまずいよな、とは感じていました。しかしシートを張り替える行為にはなかなか至りませんでした。惰性。つまりはそういうことです。例の言葉を言われるまでは。

決心した僕は、ホームセンターから張替え用の皮(椅子用)と厚めのビニールを購入し、ついに張替えを実行します。

まずシートを外し、ボロボロになった皮をはがします。次にシートの台座からスポンジをはがし、丸2日乾燥。その後ボンドで台座にスポンジを接着し、ビニール、皮の順に張りなおしていきました。

イーハトーブは台座が鉄製で、タッカーを使わずに爪に引っ掛けていくタイプでした。初めてシートを張り替えたのでどちらが楽かは分かりませんが、時間をかけて丁寧にやれば大抵きれいな仕上がりになると思います。僕の場合は皮の前にビニールを張りましたが、これは雨が降ったときにスポンジが水を含まないようにするためで、普通は皮のみでいいと思います。乾燥に2日かけましたが、作業自体は数時間といったところでしょうか。

費用は

張り替え用の皮:1000円
ビニール:380円

これでイーハトーブ2台分の材料が買えました。余った材料は、ほしい人がいたら差し上げます。(笑)

きれいになったシートとは、新しい気持ちでまたしばらく付き合っていくことができそうです。

写真1
痛々しい姿。

写真2
しっかり乾かす。

写真3
またよろしく。