2010年7月13日火曜日

冷たいみぞれと温かいひとこと

バイクの整備もさることながら、海外へバイクを持ち出すには各方面への届出や書類作成などがマストであり、いくつかのステップをクリアしていかなければなりません。

僕がまず最初にしたことは、バイクの国際登録証(国際ナンバー)の発行です。これが無いとカルネの申請もできませんし、もちろん国際ナンバープレートが作成できません。はじめの一歩、ですね。これは持ち出す車両が登録されている管轄の陸運局で申請します。僕の場合は地元の山形に登録しているため、庄内支局に申請ということになります。

書類の作成というと申請してから数日かかることが大半ですが、国際登録証についてはうれしいことに即日発行で、しかもカルネや国際免許のように有効期限がないので早めに登録しても問題ありません。

必要なものは

車検証(原付二種なので、市役所で発行される原動機付自転車標識交付証明書)
自賠責保険の証券
免許証(日本の)
パスポート
印鑑

これ以外に必要な書類(理由書など)は陸運局に置いてあるので、とりあえずは手持ちのカードからスタートできます。うん。一安心。
ということで去年の冬地元に帰った際、陸運局に登録しに行きました。あれは、みぞれの降る日でした。


灰色の空。これから訪れる冬に向け、東北の町は日を追うごとに寒さが厳しくなっていました。僕は、車のハンドルを握っていました。バイクはすでに越冬支度を終え、物置に押し込められて春を待っていたから、家の車を借りて陸運局へ向かったのです。スイッチひとつで適温に保たれる車内で、やっぱり車は快適だよなぁ、なんてため息をつきながら車を走らせました。
国道を走ること15分。目的地に到着です。がらがらの駐車場に車を停め、必要な書類の入ったかばんを取り、みぞれから逃げるように陸運局の建物に走りました。自動ドアと手動ドアをそれぞれに抜け、深呼吸をひとつ、いざ。

「バイクの国際登録をしたいのですが」

受付に座っているお姉さんへ第一声。しかし、鼻を膨らませた僕とは対照的に

「えと、国際登録・・・ですか?」

明らかに薄い反応のお姉さん。出鼻をくじかれるとはこのことか。言葉の内容が瞬時に理解できなかったようです。無理もありません。国際登録なんて田舎の陸運局では、きっと空から槍が降ってくるくらい珍しいことなのでしょう。事実、庄内支局でバイクの国際登録をしたことは無く、僕が初めてだったらしいです。

(そうか。一番なんだ)

なんてちょっとうれしく思ったのもつかの間、初めてという作業に担当の職員さんたちは右往左往。パソコンの画面とにらめっこし、キャビネットの引き出しから色々な書類を引っ張り出し、あげく顔を見合わせたりしています。あーだこーだ。そんな言葉が聞こえてきそうです。

(あらら?なんだか雲行きが怪しいぞ)

嫌な予感は的中するものです。カウンターで待っていた僕に、ひとりの職員さんがこう告げました。

「発行までに数日かかりますねぇ」

え?そんなはずはない。即日発行なはず。

「いや、確か当日受け取れるはずですが」

食い下がる。だってちゃんと調べたもん。それを聞いた職員さんは、うーんと首をかしげながらカウンターを離れ、あーだこーだの輪に戻って行きました。(さて、どうしようか。まぁ無事に発行されるなら最悪数日かかっても問題ないけどな)なんて思っていると、またしても職員さん。

「国際免許はお持ちですか?」

え?そんなはずはない。国際免許はいらないはず。しかも国際免許はまだ取っておらず、手元に無い。

「いや、確か国際免許は必要ないはずですが」

(おいー!なんで俺の方が説明しなきゃならんのよー)なんて心の中で突っ込みながら、さらに首をかしげる職員さんを見る目は不安に満ちていきます。

どれくらい経ったでしょう。気づけば時計の針は正午を示しています。(もう昼休みになっちゃったよ・・・)しかしまだまだゴールは見えそうにありません。きっとこのまま僕が居ては休憩もできないだろうと

「ちょっと出かけてきます。午後に戻ってきますので」

と残し、一旦退却。ラーメンで腹を満たし、本屋をぶらぶらし、なんとなく時間を潰します。そろそろ頃合いかと、2時近くになって再度陸運局へ。午前中と同じ場所に車を停め、受付を素通りしてカウンターへ。
どうですか?そんな僕の言葉を待たずに、職員さんは言いました。

「お待たせしました」

その手にはパスポートよりすこし大きなサイズの紙が一枚。「登録証書 REGISTRATION CERTIFICATE」と表記されています。

やった!

うれしかったです。無事に登録証書を手に入れることができたのです。これで僕のバイクも国際デビュー!笑

しかし紙切れ一枚を手に入れるのも色々大変です。そしてこれからはきっともっと大変なのでしょう。それでも確実にひとつ階段を登りました。これにより次のステップ(国際ナンバー作成、カルネ作成)へと進むことができます。ちなみに申請手数料が必要と書いてあるサイトを見たことがあったのですが、僕の場合お金はかかりませんでした。


とまぁここまでが去年のうちにやっていた作業です。この後冬の歩き旅へと出かけるわけで、続きの作業は今年の5月からということになります。

もう半年も前のことになりますが、職員さんが証書を渡してくれるときに言った

「気をつけて、頑張ってください」

の言葉が今でも心に残っています。

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