あれは去年のこと。
落ち葉舞う季節はどこか人恋しく、いつになく心を感傷的にするもの。
小さなほころびを感じたのは、もうだいぶ前のことでした。それは本当に小さいものでしたが、気づいてしまった瞬間からというものずっと違和感をぬぐうことはできませんでした。それでも僕は、なんとか取り繕うことを選択しました。誤魔化しながら続けようとしました。このままではいつか必ず駄目なる。自分でも最初から分かっていました。だけど、なかなか決心がつかなかったのです。惰性。つまりはそういうことなのでしょう。
しかし、こうもはっきり言われてしまうと、もはやあきらめる以上ありません。
僕は、シートを張り替えることにしました。
30年弱という歳月は、物質を劣化させるに十分な期間と言えるのでしょう。古いバイクというものは、至るところが劣化しています。パッキンやOリングなどのゴム系はもちろんのこと、それはシートにおいても例外ではありません。紫外線を浴び続けているシートは徐々に劣化し、ついには皮部分が破けてしまいます。
最初はほんの小さなほころびでした。とりあえずガムテープで応急処置です。しかし、それは見る見るうちに広がっていきました。もはや一箇所だけが弱くなっているのではなく、一様に痛んでいるのです。仕方ありません。ガムテープでの補強も追いつかなくなってきました。このままじゃまずいよな、とは感じていました。しかしシートを張り替える行為にはなかなか至りませんでした。惰性。つまりはそういうことです。例の言葉を言われるまでは。
決心した僕は、ホームセンターから張替え用の皮(椅子用)と厚めのビニールを購入し、ついに張替えを実行します。
まずシートを外し、ボロボロになった皮をはがします。次にシートの台座からスポンジをはがし、丸2日乾燥。その後ボンドで台座にスポンジを接着し、ビニール、皮の順に張りなおしていきました。
イーハトーブは台座が鉄製で、タッカーを使わずに爪に引っ掛けていくタイプでした。初めてシートを張り替えたのでどちらが楽かは分かりませんが、時間をかけて丁寧にやれば大抵きれいな仕上がりになると思います。僕の場合は皮の前にビニールを張りましたが、これは雨が降ったときにスポンジが水を含まないようにするためで、普通は皮のみでいいと思います。乾燥に2日かけましたが、作業自体は数時間といったところでしょうか。
費用は
張り替え用の皮:1000円
ビニール:380円
これでイーハトーブ2台分の材料が買えました。余った材料は、ほしい人がいたら差し上げます。(笑)
きれいになったシートとは、新しい気持ちでまたしばらく付き合っていくことができそうです。
写真1
痛々しい姿。
写真2
しっかり乾かす。
写真3
またよろしく。
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