2011年1月16日日曜日

閑話 日帰りメヒコ

大陸の夢の最中ではありますが、先日ロサンゼルスからメキシコへと日帰りで行ってきたので、閑話としてそのときの話でもしたいと思います。アメリカ滞在期間中なら、国境近郊の町で72時間以内であれば特に審査を受けることなくメキシコへ出入国ができるよう(あんまり詳しくは知らない)なので、それじゃぁということで。

ロスから国境の町サンディエゴへは電車で行こうと思ったのですが、あやしい乗り合いバス(バスというかシボレーの15人乗りバンだった)だと往復で30ドルと電車の半値だったためそれで行きました。利用客はもちろん、乗務員までも全員メキシカンで、バスの中も外も理解不能なスペイン語が飛びかい一瞬たじろぎましたが、なんとか片言の英語で乗り込むことができました。

古めのシボレー。スペイン語が飛び交う。

丸太のような腕をした乗務員はロスから南へのびるフリーウェイをカーチェイスさながらぶっ飛ばすし、サスペンションが少しいかれたシボレーは急な車線変更のたびに大げさに揺れ、僕はなかなか寝付くことさえできず、気づいたら3時間。国境目の前に到着していました。

そこはサンイシドロという路面電車の終着駅でもあって、電車が到着するたびにたくさんの人(ほぼメキシカンだった)がゲートへと吸い込まれていきます。僕もそれに従いゲートへ。そこは(うわさどおり)心配になるくらい何事もなく、歩道橋をこえて鉄の回転扉を2回くぐるともうそこはメキシコでした。途中自動小銃をもった国境警備員がふたりいただけで、誰と話すこともなく、険しい顔の入国審査官に「サイトシーイング」なんていうこともなく、歩いていれば自動的にメキシコに出られる仕組みでした。こんなんで大丈夫なのかな?といらぬ心配をしてしまうくらいです。

サンイシドロの駅。走っているのはトローリーだ。

電車が到着するたびに吸い込まれる人々。

車両用ゲート。もちろんバイクもここで審査。

回転扉をふたつ。それだけでメキシコ。

そんなこんなで初めて足を踏み入れたメキシコ。それはとても衝撃的でした。日本から飛行機で飛んできたのならこれほどの驚きはなかったと思います。しかし陸続きでありながら、ひとつ壁を越えただけでがらりと変わる世界を目の当たりにしてしまうと、驚きというよりも戸惑いのほうが大きくて、しばらくぽかんとしてしまいました。

そんなティファナの街をぶらぶらと散歩。目抜き通りへ出て、屋台を眺め、土産屋を冷やかし、特になにをするわけでもありませんが、夕暮れになってアメリカへと戻ることにしました。

ようこそメヒコへ!てな感じでもない。

ティファナの中心地にあるオブジェ。国境からでも見える。

ティファナの街並み。メインストリート。

通りには雑多な土産屋が並ぶ。

メキシコのプロレス。ルチャリブレ。

帰り道。オブジェに夕やけが重なる。

アメリカへの帰りは一応入国審査がありました。しかしそれもアメリカの入国スタンプをチェックされて、二言三言話をしただけで

「ふん、行ってよし」

てな感じです。とてもあっさり。審査はあっという間ですが、しかしそれを受けるために長蛇の列に並ばなければなりません。話によると最後尾が見えないほどの列で2時間は覚悟したほうがいいよといわれていましたが、日が暮れはじめたこともあってか、僕は30分ほどで入国できました。

メキシコからアメリカへの入国待ち。練馬インターか?

とぼとぼとバスの発着所へ行くとバスは今まさに出発しようとしているところで、あわてて飛び乗ると車内はすでにぎゅうぎゅう。僕はメキシカンらしくちょいメタボなオヤジたちの間に押し込められると、もう身動きさえでない状態でした。そして体勢を立て直す間もなくバスは無情にも出発。左側のオヤジは気持ち良さそうに寝ているし(よく寝られるものだ!)、右側のオヤジはずっと何かを食ってるし、僕はまるきり身動きできないしで、結局フリーウェイを右へ左へ縫うように走る車のフロントガラスから赤いランプをただ見つめているしかありませんでした。

ロスに到着したのはもう9時近くでした。あたりは真っ暗。

ホテルまでは歩いて15分ほどですが、このあたりはあまり治安のいい場所ではなく、案の定酔っ払いの黒人に散々話しかけられ、ドキドキしながら足早にホテルへと戻りました。

部屋に戻り、熱いシャワーをあび、ビールをあけたところでやっと一息つくことができました。

往復のバスも、ティファナの街も、酔っ払いの黒人も、とても今日の出来事だったとは思えないほど長く感じる1日でした。

ホテルから眺めるロスの夜景。都会だ。

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