2015年7月21日火曜日

永遠の秋 ~心に響く町~ vol.1

道は45号線だったはずなのに、標識を盲目に追っていたらいつの間にか50号線になっていた。同時にマグダレナ川沿いからは離れ、ぐんぐんとその標高を上げていく。次の目的地はボゴタ。標高は2600mもある。

道路工事がやたらと多い。どうやら崖崩れらしい。さすがのコロンビアも、道路状況は日本ほど良くはないようだ。片側通行になっているのだが、重機が動いている間は両方向とも通行止めにするので、待ち時間がやたら長い。あまりに長いので、みな車やバイクからおりて木陰で休んでいる。のんびりしたものだ。僕もヘルメットを脱いで一緒に座る。休憩にちょうどいい。いいのだけど、果たしてどれくらい待つのだろう?そんな気持ちにもなる。日本では考えられないな。なんたって赤信号が切り替わる秒数まで表示する国。エレベーターの閉まるボタンを連打する国。ラテンとは程遠い。しばらく待って、やっと対向車が来て、木陰の人たちもやれやれと腰を上げた。

川沿いはジャケットがいらない気温だったのに、山に入ると途端肌寒くなった。さらに標高はぐんぐん上がり、終いには凍えるようになってしまった。ジャケットの下にダウンを重ねる。指先の感覚がなくなる。一体どれだけ気温が下がるのだろう。心配したけど、一番寒かったのはやはり峠の頂で、広大な盆地に入ると少し温かくなった。道は、やがてボゴタに入っていった。

ボゴタ。コロンビアの首都。ほんの20年前までは世界でもっとも暴力的な都市とされていた。が、今の僕の目には永遠の秋を感じさせてくれる郷愁の町に映った

ボゴタ。きれいな町だ。

ボゴタは涼しかった。むしろ肌寒いといった方がしっくりくる。それは、秋が深まり冬の足音がどこからか聞こえ始めた、そんな感じ。そんな気候が僕の胸にささったのか、はたまた町の雰囲気が良かったのか、ボゴタでの滞在はとても心地よいものだった。時間を問わず、場所に関係なく、町の中を歩いているだけで安らいだ。
以前、まったく逆の体験をしたことがある。ホンジュラスのテグシガルパ。どこよりも居心地の悪かった町。まったく心に響かなかった町。歩きながら、ボゴタはその正反対にあるように感じた。




町の至るところにコーヒースタンドがあるのもよかった。暖かいコーヒーがいつでも飲めた。さすがコロンビアだけあってどのスタンドでもおいしく、そんなコーヒーが1ドルでおつりがくるのだから、ありがたい。
燃えるような暑さのカルタヘナでは、乾いたのどを潤すキンキンに冷えたフレッシュジュースがありがたかったけど、肌寒いボゴタでは、冷えた体を温めるコーヒーがうれしい、というわけだ。

町の至るところに、

コーヒースタンドがある。

 なかにはこんなレトロなスタンドも。

古いエスプレッソマシーンを使っているところが多い。

これはカルタヘナのジュース・スタンド。
キンキンのライムジュースがうまかった。

コロンビアは季節を旅する、そんなことがガイドブックに書いてあったのを思い出す。まさにその通りだと思った。カルタヘナは燃えるような夏だった。メデジンは永遠の春で、ボゴタは深い秋。日本から遥か緯度を下げた国は南部に赤道が走るほどなのに、さまざまな季節を感じることが出来た。

つづく。

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