2015年7月12日日曜日

彩りの街 vol.3

メデジン到着2日目にして体調を崩し、その後3日間を寝て過ごしてしまったのの、それ以外はきちんと旅行者として正しい行動をしていたように思う。

いつものように、街のあちこちを散歩した。メデジンは一年を通して気候がよいので、日々の散歩がとても気持ち良かったのを覚えている。
夜はパティオでビールを飲みながら、コロンビア人たちを交え、日本語、スペイン語がごちゃまぜになった会話に花を咲かせた。旅の話から恋の話まで。楽しい時間はあっという間だった。サムライ・カリエンテ。
メデジンが誇るメトロに乗り込み、街の夜景を見に行ったりもした。メトロはてっきり電車であると思っていたのだけど、街の両側を山に囲まれたメデジンは、山肌に続く郊外へはなんとロープウェイが延びていた。電車ではなくロープウェイを使わなければならないほど山は急こう配というわけで、だから山頂付近の駅からは谷底に広がるきらびやかなメデジンの夜景が一望できた。
また、中心街にある銀行をいくつも歩き渡り、足を棒にしながら少しでもレートの良い銀行を見つけ、手持ちのトラベラーズチェックをコロンビアペソに替えたものの、なぜか表示とは違うレートで両替されてしまい、だけどそれを問いただすだけの勇気も語学力も持ち合わせていなかったため、歩きまわった数時間が徒労に終わったこともあった。

電車から乗り換え。まさかのゴンドラ。

谷にのびる夜景。

そんななかで、特に印象に残っているのがメデジン日本語クラブを知ったことだった。
メデジンではひとりの日本人女性が学生相手に日本語を教えている。それがメデジン日本語クラブで、その活動を少しでも多くの人に知ってもらうため、ふらりとメデジンを訪れた旅人にもその門をひらいていた。

コロンビア人が母国で日本語を学ぶにあたり、ネイティブな日本人との会話がどれだけ有益か。その機会は多ければ多いほどいいのだけど、そもそもコロンビア自体に多くの日本人が住んでいるわけではない。そこで世界中をふらふらと旅しているバックパッカーが出番というわけだ。

講師であるカオリさんはなかなか活動的な人で(コロンビアで日本語を教えようというのだから活動的でなければできない)、学生による日本語でのスピーチコンテストを行ったり、自宅での日本料理教室を開いたり、精力的に活動をしている。そして僕はその日本料理教室に遊びに行ったというわけだ。

同じ宿に泊まっていたユキ君(彼はメデジンに長期でスペイン語の勉強をしにきていて、カオリさんとは面識があり、今回は彼に誘ってもらった)と一緒にでかけた。
約束したスーパーマーケットでカオリさんともうひとりの日本人パッカー、さらに学生3人と落ち合い、必要な食材を買い、カオリさんの自宅へ向かった。その日の料理はお好み焼き。学生たちを交え、あーだこーだとおしゃべりをしつつお好み焼きを作った。出来栄えは、まぁ、置いておくとして、みんなで作れば楽しくいただけるというものだ。

学生たちは全部で5人。日本の文化や習慣、歌やアニメに至るまでどんなことにも興味があった。おかげで質問は絶えなかったけれど、そこにいたほぼ全員が優しい日本語なら問題なく理解し、話すことができたので助かった。伝えたいことがうまく伝えられない、外国語独特のあのもどかしさがどこにもない。同時にコロンビアでこれだけ日本語を熱心に勉強し、話せるようになっている学生たちに驚かされた。日本の学生なんて、何年も英語の勉強をしていながらネイティブ相手に話しをすることなんてできない。

会も終わりに近づいたころ、ひとりの女の子が東日本の震災にむけて書いたというスピーチを、僕らのために聞かせてくれた。長いスピーチだった。すばらしかった。心が温まるものだった。聞きながら、カオリさんはコロンビアの学生たちに単に日本語を教えるだけでなく、日本という国そのものを教えているんだな、と感じることができた。

上手にできるかな?

みんなで。

おわり。

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