2009年11月4日水曜日

始まりの話

それはまだ夏の走りの日だった。

片側2車線。頭上には首都高速が太陽の光を遮るように横たわっていて、対向車は途切れる気配を見せなかった。交差点のど真ん中で右のウィンカーを出しながら停止線上に止まっている車の中に、僕はいた。

「そうか、歩いて日本縦断しよう」

青天のへきれき。それはひらめきに近い感覚だった。瞬間頭の中はそのことでいっぱいになった。ふつふつと気持ちが高揚していった。
うん、やろう。やってみよう。
右折専用の矢印が出て、車がゆっくり動きだす時には、もう決まっていた。
たった数秒。
あっけないような気もするが、きっと物事が決まるときは、案外そんなものなのかもしれない。

こうして僕の「徒歩による日本縦断計画」が始まった。

それからというもの、ことあるごとにそのことを考えていた。あれこれ考えるのが楽しくて仕方がなかったのだ。晴れた日に、海沿いの果てしない道を歩く自分を想像しては、ひとりにやけた。だけど同時に、不安や悩みのようなものも頭をもたげた。でもそれは一歩ずつ確実に目標に向かって進んでいる証拠のように思えた。

以前の僕は、四国のお遍路をやってみたいという思いがあった。とにかく、歩いての旅がしたかったのだ。そして単純に思いついたのがお遍路というわけだ。でもそれは頭の片隅に浮かんでは消える絵空事でしかなかった。実際にそれに向かって何かを進めたわけではないので、思いをはせては幸せのため息をつくだけだった。目標を達成するための困難とか、苦痛とか、そんなのものは一切伴わなかった。

今回は違う。
具体的な計画(まぁ僕の性格上どれほど具体的かは推して知るべしなんだけど)を立て、必要な道具を購入し、ブログを立ち上げ(笑)、やるなら冬だと決めた。

そしてある出来事が起こった。今にして思えば、それを乗り越えるのが一番の苦痛だったかもしれない。だけどそれにより僕の心はより一層固いものになったのは間違いない。

人生において物事のタイミングというものがあるとすれば、きっとこういうことを言うのかもしれない、と思った。それが例え自分のうっかりミスから派生した問題であったとしても、そんなことは棚に置いておいて。

にほんブログ村 旅行ブログ 日本一周へにほんブログ村
↑日本一周ブログ村ランキング参加しています。ご自身の判断で1クリックを…

2 件のコメント:

  1. ナカ〜タ様 はじめまして。
    徒歩で日本縦断ですか!しかも
    冬の宗谷から!?なんだか凄そうです。
    いきなり寒い状況からスタートするのって
    かなりしんどそうですよね。
    バイクやチャリと違い重量制限がありますし。
    頑張って下さい。
    ブログ楽しみにしてます。

    返信削除
  2. タイ象様
    コメントありがとうございます。

    なんとも思いつきの日本縦断ですけど、
    がんばってゴールしたいと思います。

    確かに重量制限ありますね。
    どれだけ荷物減らせるか…心配です。笑

    これからもよろしくです。

    返信削除