2009年11月7日土曜日

さよならスノー

スキー場のシーズンパスを予約しなかった。

それは夏の間(8月1から31日まで)にインターネットから簡単な必要事項を記入してボタンを押すだけで、全額の30%も割引をしてくれるというこのご時世になんともうれしいサービスである。もともとが15万円もするパスだから、3割引きというのはかなり大きい。申し込んだからといって必ず買ってもらわなければ困りますなんてことも言われない。融通ききまくりのサービスだ。

買いたければ買えばいいし、買いたくなければ放置しててもお咎めなし。そんなオープンなスタンスが、予定は未定な人生を送っている僕なんかには大変好都合だった。だから毎年夏にそれを申し込むのが僕の中で決まりみたいなものになっていた。もちろんそのスキー場には毎年こもりに行っていたわけだけど、こもり先によってはパスが支給されたりするので、まだ状況がはっきりつかめない夏の間はとりあえずどう転んでもいいように予約だけは入れていた。



雪が溶け、山から下りてきて、数ヶ月でその季節はやってくる。その頃には雪山のことはすっかり頭から消えているのだけど、どういうわけか8月の下旬になると「あ、そういえばパスの早割り予約してないな」と思い出し、滑り込みセーフで申し込むというのが常だった。

ところが。

今年はすっかり忘れていた。思い出したのは9月に入ってからだった。たまたま雪山仲間と電話をしたのがきっかけで、思い出した。
呆然とした。
こともあろうに忘れていたなんて…。



日本縦断への青天のへきれきは7月だった。夏の走り。だから別にそんな予約は必要ないだろうと言われればごもっともなのだ。否定はできない。でも、どこかで逃げ道がほしかった。だって予約だけして買わなければいいんだもの。よしんば歩かずに今年も雪山にこもる方向で話が進んだとしても、ひと安心。きっとそんな下心があったように思う。

僕はスノーボードが大好きだから、冬の間雪が降ってもお預けというのは大変きつい。おもちゃ売り場の前で駄々をこねる子供のように身もだえしてしまう。だからこもりを棄て、歩くという選択をすることには大人な決断が必要だった。何度も何度も甘い誘惑に負けそうになった。
でも、予約は忘れていた。
気付いたら、夏が終わっていた。

忘れていたのは仕方ない。これはきっと人生のタイミングのようなものだ。大人な僕は表面上の折り合いをつけようとする。
もとから歩くつもりだったんだし、いいじゃないか。
そう自分にいい聞かせるが、結局その夜も駄々をこねながら枕を濡らすのだった…

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