歩１１日目 北海道札幌市

天候　雪後晴れ
気温　5時　-1.9度
　　　15時　-1.8度

昨日はついに日中でさえプラスの気温にならなかった。シベリアからの寒波が流れ込んで来たのだろう。多分今日も気温は低いままだ。今朝は、バス停の中でさえマイナスの気温だった。

5時45分。起床。ベンチ脇に置いてあったブーツは固く凍っていて、足を入れるとひんやりと冷たい。残っていたミソパンも固く、前歯でかじるとパキンと気持ちのよい音がした。暖かいコーヒーで流し込んだ。

6時45分。出発。目指すは札幌。軽く吹雪いてはいるが、昨日に比べたら赤子のようなもの。人間大変なことや辛いことを経験するたびに、ひとつずつ成長するものだ。
1時間ほど歩くと進行方向に青空。がぜんやる気になる。

10時00分。石狩川を渡る。これまで大概の川は氷が張っていたが、石狩川は凍っていなかった。だいぶ南下したからか、石狩川が大きな流れだからか。多分その両方だろう。
橋を渡り終えたらセイコマで昼食。最近は買い物ついでに魔法瓶にお湯をもらう術を身につけた。どの店も快く応じてくれる。僕としてはお湯を沸かす手間が省けるし、ありがたい。

石狩放水路ではワカサギ釣りを楽しむ人が大勢。氷上にテントを張り、専用の短い竿で釣糸を垂らしている。家族連れも多く楽しそう。僕も氷の上に降りてみた。いつもは立てない場所に立つというのは、なんだか不思議な感覚だった。

14時30分。留萌から付き合ってきた231号の起点にたどり着く。ここからは5号線。函館までその多くの工程でお世話になる道だ。
それにしても札幌は都会だ。片側3車線は当たり前で、ビルが立ち並び、人が大勢行き交っている。何もなく、数日間誰ともすれ違わなかったオロロンラインから来た僕は、そのエネルギーに圧倒されてしまう。

15時30分。札幌駅到着。使い終わった乾電池を電気屋に回収してもらい、駅ビルで買い物。
今日は札幌にいる友達の家に泊まらせてもらう。稚内を出て、10日ぶりに野宿から解放される。駅から1時間半で友人のアパートに到着した。彼とは去年の夏以来の再開。僕がバイクで旅をしていた頃に出会った。その頃彼もまた旅をしていて、いわば旅仲間といったところだ。
アパートには現在一緒に住んでいる彼女（彼女も旅仲間のひとり）もいて、まぁ結局は3人とも以前からの付き合いなのだ。

そんな彼らは大変よくしてくれた。風呂に洗濯、夕食と、いろいろもてなしてくれた。僕は6日ぶりの風呂で気絶しそうなくらい気持ち良くなって、自分ではあまり気付かなかったけど友人に言わせるとかなり臭う洗濯物もきれいにしてもらって、おまけにお腹いっぱい夕食を食べる事ができて幸せだった。旅をしていると、普段の生活のなんでもないひとつひとつがこんなに幸せなことだったのかと再確認できる。

食後は昔話に花が咲き、日付が変わる頃、温かい布団に入った。携帯電話を片手に握り、気を失うかのようにあっという間に寝てしまった。

写真1
さすが石狩川は凍っていなかった。悠久の流れか。

写真2
氷上の釣り人たち。僕もやってみたい。

写真3
札幌と言えば。町中にある。