2010年1月26日火曜日

歩25日目 青森県上北郡七戸町

雨だった。

朝と言うには早すぎる時間だったが、目が覚めた時にはフライシートがぽつぽつと音をたてていた。この音は雪じゃない。寝呆けた頭でも判断できた。朝に聞くには憂鬱な音だ。
長い道中雨を避けることはできないとわかっていても、いざ雨に降られると結構萎える。

3時20分。起床。北海道を出てからそろそろやらねばと思いつつも、まだ雨対策をしていなかったのでいろいろと準備をする。それにしても雨が降ると動きが鈍くなる。のらりくらりしているうちに明るくなってしまった。

7時00分。出発。テント撤収時にかろうじて小降りになったのには救われた。雨なのでいつものジャケットではなく、レインウェアを着た。さらに寝袋やダウンインナー、着替えや電子機器をポリ袋に入れてからバックパックに収めた。いくらザックカバーをしていても、長時間雨に打たれたらバックパックの中も濡れてしまうからだ。こうすれば安心できる。
篠突く雨の中、今日も南に向けて歩き出した。

雨は視界を狭くする。フードを被り、顔に雨が当たらないよううつむいて歩くものだから、見えるのは自分の両足だけだ。中途半端に暖かくて雨が降るよりまだマイナスで雪の方が断然いい。

9時30分。雨が上がった。雲が切れ、薄日が差した。このまま1日保ってくれればいいのだが。

一度は止んだ雨だったが、2時間と我慢出来なかったようだ。国道279号から国道4号に入る頃にはまたも自分の両足を見るはめになった。

国道4号線。この道は東京まで続いている。道路脇の標識には、東京まで694kmの文字。なかなかに遠い数字だ。

14時30分。雨は雪に変わった。気温は変わらずだが、上空の気温が下がったのだろう。雨よりはいい。

道を歩いていると、よく工事の現場に出くわす。小規模であれば問題ないが、大規模になると厄介だ。特に幹線道路だと交通量も多く、危ない。そういうときは決まって現場のガードマンが付き添ってくれる。わざわざ車を止めてくれたり、現場の中を通してくれたりする。なかなか楽しい。しかし仕事とはいえ現場の人は雪の中大変だ。ご苦労様である。

17時50分。七戸の道の駅に到着。今日はここにテントを張ろうと思う。そしてありがたいことにここから歩いて5分の場所に温泉がある。東八甲田温泉。本州第1湯目である。ゆっくり浸かって疲れを癒したい。

東八甲田温泉という魅力的な名前の温泉は、実際なかなかによかった。300円という値段もいい。
ひばの香りだろうか。かすかに香りる湯船に肩までどっぷりと浸かると、自然とため息が漏れた。たっぷり1時間入り、湯上がりに缶チューハイで2ndステージ突入と下北半島制覇をひとり祝った。

21時00分。道の駅に戻りテント設営。温泉ですっかり長居してしまった。外はかなりの雪が降っているが、建物脇の広い軒下は雪が入って来ない。この旅始まって以来、初めて雪の上ではないテント泊となった。

夕食はコロッケカレーと白菜とベーコンのサラダ。サラダは切った白菜とベーコンを袋に入れ、塩、胡椒、ごま油(あればごまも)を加え、袋の口を押さえて振れば完成。これまた乱暴な一品。
ごま油の代わりにオリーブ油を使い、最後にレモンを搾ればさっぱりと仕上がる。またベーコンではなくハムやソーセージなど塩気のあるものならなんでもいい。ミミガーを使うと、こりこりした食感がおいしいし、沖縄気分も一緒に味わえる。

いつになく豪華な食事なのは、温泉で体重を計ったらさらに500gほど痩せていたからだ。体つきも明らかに細くなってしまった。
これからまた少し山道を歩こうとしているので、今のうちに食べておかなければと思ったのだ。

ゆっくり夕食を楽しんでいたら23時を過ぎてしまった。目はすでに半分閉じかかっている。
4時に鳴る時計のアラームを消した。明日の朝は少しゆっくり寝よう。

今日の歩行距離約35km。

写真1
下北半島もあと少し。野辺地の町が見えた。

写真2
国道4号に入った。東京まで694km。かなりある。

写真3
ガードマンに連れられて。寒い中ご苦労様。

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