2010年1月25日月曜日

歩24日目 青森県上北郡横浜町

天候 曇り後晴れ
気温 5時 -0.2度
   15時 2.1度

天使のリュック。そう呼ばれていた。

いくつかの山を友人たちと登ったことがある。ある時こう言われた。
「なかちゃんのリュックにはきっと羽が生えてるんだよ」

僕はなぜか山が好きだ。いつからか好きになってしまった。まだ二十歳そこそこの時などは山などまったく感心がなかった。本屋で山の雑誌を見かけても、一体誰がこれを買うのだろうと思っていたほどなのに。

だけど最近は山に登っている。もちろん初心者だし、全て独学だし、山に精通した人からすればそれはままごとみたいなものだけど、好きなのだか仕方ない。
バイクで旅していた頃も山に登った。旅で知り合った仲間とも登った。その時に言われた言葉が天使のリュックだった。

それはいつも決まって景色の良いところで起きる。特にピーク手前、これから最後の詰めという時が多かった。一番しんどい時。だけどその頂きを目にした途端、僕は一気にテンションが上がる。自動的に早足になる。一番しんどい時に突然加速するものだから、仲間たちからは呆れられた。どこにそんな元気があったのかと。

それで前出の言葉である。仲間が言う。あいつはね、天使のリュックが羽ばたいて、あっという間に登って行ってしまったよ。

4時10分。起床。昨日スーパーで買ったくるみ団子で朝食。くるみ団子やくるみ餅は好物なのだけど、なかなか売っていないのが悲しい。

6時30分。出発。歩き始めていきなり転ぶ。雪に足を滑らせた。滑ってもなんとか立て直せれば問題ないのだが、重い荷物に振られてしまうとどうしようもない。しりもちをつくように転んでしまった。北海道でも2度転んだ。

8時20分。小学校で休憩。校舎のカーテンが締め切られ、人影はない。そうか、今日は週末か。旅をしていると、日にちと曜日の感覚が薄れていく。そして、やがて無くなる。必要ないのだ。それが旅の日常。自由な日常。

むつはまなす街道はひたすら真っ直ぐ続いた。地図で見るとそれは陸奥湾添いの道のように見えるが、実は微妙に海から離れている。しかもその間に防風林があるため眺望は良くない。
海が見えなくてがっかりだと思ったが、いざ林が切れて海が見えると強い風が体を叩き踏張って歩かなければならず、これなら見えなくてもいいやなんて自分勝手に考えるのだった。

13時30分。横浜の道の駅到着。バナナと食パンにあんこを挟んだ即席あんパンで昼食。昨日の夕食はおしるこで(どうしても餅が食べたくなった)、あんこが余っているのだ。もっとも餅も余っているから今日の夕食もおしるこなのだけど。

道の駅には農家直売の野菜が売っていた。激安。ニンジンなんかた5〜8本も入って100円。最近は体が野菜や果物を欲しているから思わず買いたくなるけど、いくらなんでも多すぎる。ばら売りしてほしいくらいだ。

15時00分。空を一面覆っていた重い雲が途切れ、目の前に太陽に照らされた津軽の山々が見えた。きれいだ。一気にテンションが上がった。気付けば自動的に早足になっていた。
30分後、ついに太陽が顔を出した。まぶしいくらいの陽の光に、それがいつぶりなのか思い出せない。

17時20分。右手を見ると、林の切れ間からたくさんの鉄塔らしき明かりが見えた。六ヶ所村だろうか。下北半島の小さな村は、その名前が全国的になった。なってしまった。
さらに進むと左手前方に夜景が見え、それは間もなく下北半島が終わることを教えてくれた。

18時00分。いつものように国道から脇道に入る。海からの風を避けるために、海とは反対側の脇道。しかし防風林は木の密度が高く、テントを張れそうにない。どこかないかと奥へと進むと、広大な雪原を見つけた。広い。野球場なら5つ分くらいあるのではないだろうか。なんだろうと思ったが、どうやら砂利の採取場らしい。とにかく今日はここに決定。

弦月だけど月明かりが明るくて、雪の上に自分の影が落ちた。テントさえトーチなしでも建てられる。北の空には低い位置に北斗七星があった。しばらくテントの中から空を眺めていた。

今日の歩行距離約36km。

写真1
とある家の前で見つけた。この大根はどうなるの?

写真2
道の駅にはこんな物も。750円。

写真3
浮かび上がる津軽の山々。羽が生える瞬間。

0 件のコメント:

コメントを投稿