2010年1月10日日曜日

歩9日目 北海道石狩市浜益区

天候 晴れ時々吹雪
気温 5時 0.7度
   15時 0.8度

どうやら風邪っぽい。まだ引きはじめな感じであるが、足の膝に指のマメの次は風邪かよと、自分の体調管理の悪さに情けなくなる。
いったい何が原因だろう?と思ったが、それも無理はないのか。この寒空に毎日疲れるまで歩いて、氷点下の夜を野宿の連続ときているのだから、思い当たる節は多分にある。
まぁ仕方ない。あとはこれからどうするか、だ。

5時00分。起床。いつものようにサンドイッチの朝食。バス停だとテントの撤収がなくて楽。そして暖かい。今ここは0.7度だが、外は間違いなく氷点下だろう。

6時00分。出発。これからいよいよ雄冬岬を越える。地図を見るかぎり、アップダウンにトンネル多数とかなり手強そうだ。気合いを入れねば。

8時30分。登り坂と、いくつかのトンネルを抜けると海沿いに出て、札幌まであと100kmの表示があった。あと100km。稚内を出た時は遥かに感じた札幌が、もう射程圏内にある。明後日には到着予定だ。

10時15分。何気なく通りすぎようとした小さな漁港で歩きを止められた。発破工事をしているようで、タイミングよくその瞬間に出くわしたのだ。
現場のおじさんは、
「あんた運がいいよ。なかなか見られるもんじゃない」
と言った後、僕の格好を見て矢継ぎ早に質問してきた。歩いて旅しているのか?どこからどこまで行くのか?期間はどれくらいか?寝泊まりはどうしているのか?そして最後にこう言った。
「それなら鹿児島からスタートしたら良かったんじゃないのかい?」
僕の計画を聞いた誰もが言う言葉だ。僕はいつものようにこう答えた。
「冬に歩きたかったんです」
するとあんなに質問攻めだったおじさんも、次の言葉が見つからないようだった。少し愉快な気分だった。

期待した発破はびっくりするほどでもなかった(僕が期待しすぎた?)が、確かにそうそう見られるものでもないのだろう。ラッキーなことだ。

岬の先端に近づくほどに風が強くなり、辟易する。なにせ向かい風。特にトンネルの中はひどく、前のめりにならないと進めない。苦労して1歩ずつ歩いていると、ついにはザックに被せていたカバーが飛ばされてしまった。運良くカバーは縁石にひっかかってくれたものの、すぐに食べられるようにとザックとカバーの間に入れておいたおかしまでもが飛ばされ、やってきたトラックに踏まれて見事こなごなになった。まだ食べ掛けだったのに。この先しばらく店などないから貴重なエネルギー源だったのに。あぁ、と小さなため息しか出なかった。

12時00分。雄冬到着。ついに岬の先端。と言っても小さな漁港があるだけ。夏ならば観光客で賑わうのだろうが、今は寂しいものだ。人っこひとりいない。バス停で休憩。

岬の向こう側は吹雪ていた。増毛方面は風はあれど青空が垣間見れるほどだったのに、札幌方面は真っ白になるくらいの吹雪。山をひとつ越えると天候はがらりと変わるものだ。

それにしても今日はいくつトンネルを抜けただろう。大小あわせてゆうに20は越える。2kmのトンネルなら30分はその中にいるわけで、歩きながら5曲は歌えてしまう。交通量があまりないのが救いか。

あまりに風と雪がひどいのでバス停で休憩。気合いを入れ直し外に出ると、いきなり日が射してきた。しばらくすると雪も止んだ。ありがたい。

15時45分。石狩市群別に到着。ついに石狩市。今日の目的地浜益まであと少し。

17時20分。浜益到着。昼すぎからどうも風邪の引きはじめな感じがするので、今日もバス停に泊まることにする。もっとも風が強く、テントを張るにはかなり困難なのだけど。
浜益は思ったより大きな町ではなかった。スーパーどころかセイコマもない。小さな個人商店があるだけだ。今日の夕食と、明日の朝食を買わないといけないので商店に入ってみるが、予想通り品数も少なく値段もお高い。さんざん迷ってミソパン(初めて見たので試しにかってみた)と人参を買った。米はあるから炊き込みご飯にしよう。

バス停に行き、早速調理。といっても味付けをして、具材を入れて、米を炊くだけ。おいしくできた。
食べ終わるとそれまでの緊張がほぐれたのか、急に体がだるくなった。これはさすがにまずいと思い、風邪薬を飲んで寝袋に入る。と、薬のせいか疲れのせいか、しばらく眠ってしまった。そして今、これを書いているというわけだ。
少し寝たらだいぶ良くなった。明日の朝までに治さなければ。

今日の歩行距離約40km。

写真1
滝も凍る北海道の冬。白銀の滝。

写真2
雪が止んだ。綺麗な景色が待っていた。

写真3
人参たっぷり。おいしくできた。

2 件のコメント:

  1. 発破のオジサンとのやりとりにウケました^^

    風邪ですか〜どうなんでしょ?騙し騙しいけるクチですか?

    海沿いの知った土地の名前とみそパンが出て来て懐かしさがひとしおな小生ですが、
    ナカ〜タさんにとってはきっついですよね〜

    体力の消耗した状態だと、回復に時間がかかりますよね〜
    どしたらいいのだろう?
    暖かい場所で休息・・・・ってそんな場所ないしな〜

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  2. タイ象さん

    いつもコメントありがとうございます。

    ミソパンは北海道のものなのでしょうか?結構おいしかったです。

    今は札幌の友人宅で養生しています。風邪も完全復活。

    やはり健康が一番ですね。

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