2010年2月4日木曜日

歩34日目 岩手県一関市

天候 快晴
気温 6時 4.0度(室内)
   17時 -4.4度

ただ歩いて行く旅だ。

北から、南へ。自分の足で移動する。たったそれだけのこと。この旅の一番根っこにあるのはそういうことだ。

なぜ歩いて旅をするのか?
その問いに整った答えを出せるほど僕は立派な人間じゃない。もっともらしい理由をあれこれ付けるのは簡単だけど、本当の答えは歩きたかったから、ただそれだけだ。

リーチング佐多岬(詳細は右側ガジェットのリンクを参照。携帯電話の人はごめんなさい)にしてもそうだ。高尚な理由なんてない。ただ一緒に歩くだけ。一緒の時間を共有するだけ。それでいい。

僕に何か形あるものを残せる訳ではない。でも一緒に歩いたという記憶は残る。そしてきっとその記憶は心の片隅に小さな種を落とし、いつか、たぶんずっと未来に花を咲かせるのだと思う。もしそうなれば素敵だな。単純にそう思ったからだ。

6時50分。起床。布団で目覚める朝は体が痛くなくていい。寒い中で寝ていると知らず知らずのうちに筋肉を強ばらせるためか、起きると体の至るところがきしむ。
空は日本晴れ。絶好の旅日和。今日は友人姉妹と一緒に歩く。カフェが休みの今日、3人で隣町まで歩くこととなった。

朝食をいただき、お弁当代わりに巻き寿司とサンドイッチを作った。今日は節分。どうせなら恵方巻きを持っていこうよ、そういうことになったのだ。

10時00分。家を出る。大変お世話になったご両親にお礼をいい、全員で写真を撮った。温かく、理想的な家族だった。おにぎりふたつにお米(自家製)、きな粉(これも自家製。きな粉が好きな僕のためにわざわざ炒って挽いてくれた)、その他たくさんのお土産を渡してくれた。バックパックは膨れ上がりその重さが肩に食い込んだけど、それは全て優しさなんだ、そう思うとひとつも苦にはならなかった。

車に乗り込みカフェへと向かう。一昨日カフェにたどり着いた後は車で移動したので、再出発はカフェからにしたかったのだ。

11時40分。カフェの前から改めて出発。3人で歩き始める。目的地は隣町の前沢駅。約10kmの道のりだ。ゆっくり歩て3時間。晴れた日のちょっと長めの散歩と思えば無理のない距離だ。

水沢の市街地を抜け、国道4号を歩く。歩道に横一列になって色んな話をしながら歩いた。昼を過ぎても気温はプラスにはならず低いままだけど、風もなく日差しを浴びていると寒くはない。

途中、小さな川原の階段に並んで座り、陽の光をいっぱい浴びながらサンドイッチを食べた。水筒からは温かい紅茶。まるでピクニックみたいだね。そう言ったけど、それはまったくその通りだった。
サンドイッチはサバみそ缶にアボカドを使った型破りな意欲作。初めて作ってみたけどなかなかいける味だった。カフェのサンドイッチに取り入れてみようか。そんな冗談とも本気ともつなかい会話で笑った。

再び歩き始める。もう半分の距離は歩いている。僕はこのまま目的地に着いてしまうのがもったい気持ちだった。彼女達もそう思ってくれているような気がした。それでも歩いていれば目的地に辿り着くもので、13時50分に前沢駅に到着してしまった。
「やっと着いたね!」
そう言ってみたけどそれは同時に終わりを意味していて、僕はどこか寂しさを感じた。

次の電車までは1時間あったので、駅のベンチでビールを飲みながら巻き寿司を食べた。大きくてお腹いっぱいになるほどだった。楽しい時間はあっという間で、電車は僕らを待ってはくれない。改札を出ていくふたりにまたねと何度も言って別れた。電車はふたりを乗せて北に帰って行った。僕はまた南に向けて歩き始めた。

ひとりで歩いているのが不思議だった。3日も一緒に遊んでいたから、振り向けばそこにふたりがいるような気がした。
たった3時間の歩きだったけど、彼女達はどう思ってくれただろう。心に種は落ちただろうか。いつかそれは綺麗な花を咲かせるだろうか。もしそうなれば素敵なことだ。

16時30分。平泉到着。中尊寺をさらりと見て回る。そこにはなぜか高見盛関がいた。案内所のおばちゃん達としばらく会話を楽しみ、その場を後にした。

19時00分。一関市到着。そろそろ寝床を決めなければいけないが、市街地に入ってしまったので先へ進む。1時間ちょっと歩いて市街地から離れた国道脇の空き地にテントを張った。
それにしても今日は寒い。気温はマイナス7度を下回り、北海道の夜を思い出す。空にはたくさんの星で、ゆらゆらまたたく光を放っている。地上は無風だが、上空は風が強いのだろう。このまま天候が変わらなければいいのだが。そう願いながら、僕は充実した気持ちで寝袋に包まった。

今日の歩行距離約28km。

写真1
リーチング佐多岬の4&5人目。うらやましいほどの仲良し姉妹。

写真2
中尊寺本堂。旅の安全を祈願。

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