2010年2月19日金曜日

歩49日目 神奈川県横浜市

天候 雪のち曇り
気温 5時 6.8度
   17時 5.7度

旅を続けていると、普段の生活における日常と非日常が入れ替わる。当たり前が当たり前ではなくなり、不自由を常とするようになる。

当たり前は失って初めてそのありがたさを思い知らされ、そしてそれは物理的な事柄にのみならない。
日々の生活における行為全てに当てはまる。それを見つける度、僕は幸せの本当の意味をひとつ知ることななる。

4時30分。起床。早朝から仕事の友人は既に起きていて、僕も眠い目を無理矢理こじ開ける様に起き上がる。

5時10分。出発。玄関を出ると真っ白な雪が舞っていた。多摩川にテントを張らなくて良かったな、そう思い友人に感謝する。友人と別れ、鶴見駅までの坂を下っていく。まだ暗く、雪の舞う長い下り坂ではすれ違う人など居らず、オレンジ色の街灯に照らされて色を変える雪だけが僕を見ているようだった。

6時00分。鶴見駅前のマクドナルドで休憩とブログの更新。3時間も携帯電話の小さなキーを押し続けると、さすがに親指と頭の片隅が痛くなる。それでも暖かい店内では指がかじかまないので助かった。

11時00分。店を出る。川崎駅まで電車で移動し、昨日皆と別れた場所まで戻った。国道15号を西に向けて歩きだす。あれだけ勢いよく舞っていた雪は、その身を潜めるように姿を消していた。

12時00分。鶴見駅到着。仕事を終えた友人からメール。今どこを歩いているかと聞かれ、10分後に鶴見駅で合流。彼は今日も一緒に歩いてくれるという。
「自分も一緒に日本縦断を少しでも味わいたい」
嬉しい事を言ってくれる。
駅前の韓国料理屋で昼食にした。唐辛子の辛さが体を中から温めてくれる。
代金は、彼が支払ってくれた。昨日の夜も僕はお金を出していない。僕だけ特別扱いされているようで居心地が悪いのだけど、誰も僕の財布から出るお金を受け取ろうとしない。さらには僕のブログから言葉を引用し、
「これは接待だから」
冗談まじりにそう言った。僕は何も言えなくなり、ありがたくそれを受けることにした。

店を出ると、ビルの隙間の小さな空に青空を見つけた。天候は徐々に回復に向かっているようだ。天気予報では、旅の心配事のひとつからしばらく解放されるだろう、そう言っていた。

国道15号をふたりで歩き始める。生麦、新子安、東神奈川と駅をつなぐ。午後の日差しは西に向かう僕らを正面から照らし、歩いていると暑くなるほどだった。。滝の橋から旧道に入り、横浜駅を迂回するように進む。

途中、旧道かと思った小さな商店街は間違いで、1時間ほど道に迷ってしまう。そんな僕らを励ますように夕日が西の空を紅く染め上げていた。

そろそろ寝床を決めなければいけない。しかし途切れることのない市街地にそれを見つけることが出来なくて、ふたりで暗い住宅街を奔走する。1時間を費やすが納得できる場所がなく、仕方なくファミリーレストランで一夜を凌ぐ事にした。

友人とビールを飲みながら明日の作成会議。なんと彼は明日も共に歩いてくれると言う。僕はポテトをビールで流し込みながら、嬉しさが込み上げてくるのを感じた。

友人との別れ際、
「じゃあまた明日」
と挨拶を交わした。この旅でその言葉を使ったのは初めてだった。それは、落ち着けるいい響きだった。旅中は日常のありふれた小さな会話でさえ、非日常になってしまうものなのかもしれない。

今日の歩行距離約12km。

写真1
その名の通り横浜のランドマーク。この後1時間の迷子に。

写真2
素敵な海をふたりで泳ぐ。小学校の壁に書かれた卒業作品。

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