2010年2月21日日曜日

歩51日目 神奈川県?郡箱根町

天候 晴れ
気温 7時 5.5度
   18時 1.7度

流山以来のひとりを感じる。
流山に到着してからこの1週間、毎日誰かと会っていた。今までは誰にも会わず、誰とも会話をしない日だってあったはずなのに、いざこうしてひとりを感じると、やはりどこか寂しいものだ。それは、深い海にひとりで潜ったような感覚だ。

もちろんひとり旅を選んでいるのだからそれが当たり前なのだけど、やはり楽しかった日々の後にはそれに慣れるまで少し時間が必要なようなのだろう。

8時00分。起床。昨日の晩は寝袋に包まった途端に寝てしまった。寝袋は、微かに煙草の匂いがして、それは苦くて切ない香りだった。
2日間の寝不足は、今日の睡眠時間に反映しているようだ。5時半に一度目が覚めたが、まぶたは重く、寝袋の中で携帯電話をいじりながらまた寝てしまっていた。

10時30分。出発。今日も天気がいい。目の前に広がる太平洋を眺めながら準備運動。日差しが暖かく、ビーニーとネックウォーマーをしまい、キャップをかぶって歩きだした。

12時00分。国府津到着。すでに小田原市に入っている。週末とあって、国道1号はツーリングのバイクやトレーニングの自転車が多い。

気温は10度を超え、今日も春の陽気だ。ダウンのインナーを脱ぐ。これからはどんどんとその出番が少なくなるだろう。着ている服が一枚減るだけで、動きが軽くなり、同時に気分も軽くなる。どこまでも歩いて行けるような気持ちになる。

12時50分。酒匂川を渡る橋の上から富士山が見えた。箱根の山々の向こう、雪をかぶったその頂は、一目でそれと分かるほどの存在感だった。たぶん、日本人なら誰もが一目で分かるだろうな、そう思うと富士山という山がどれほど特別な存在なのかという事を実感する。日本一の標高にして、あれだけきれいな独立峰なのだ。それだけの価値は確かにある。

13時30分。小田原城でしばし休憩。たくさんの観光客。暖かな日差し。梅の花。ベンチでコーヒーを飲みながら目を細める。

15時30分。箱根湯本の三枚橋で国道から外れる。ここから旧東海道は県道で、本格的な登りになる。
週末の箱根湯本は観光客で賑わっていて、古い町並みと相まっていい雰囲気。僕はそれを横目に見ながらどんどん登る。

途中いくつか石畳の道があった。当時のまま残されている石畳の道は、木々に囲まれ昔の面影を今に残している。静かな径を歩くと、なんだか僕まで当時の旅人になったようだった。

16時50分。箱根の難所と呼ばれる女殺しの坂に到着。ここまでもひたすら登って来たが、さらにその勾配はきつくなる。息を切らせながら登る。気温はどんどん低くなる。道の脇にはまだ雪が残っていた。

きつい勾配が更にきつさを増した。最大の難所、樫の木坂に到着。
「樫の木の、坂をこゆればくるしくて、どんぐりほどの涙こぼれる」
そう当時の文献に書かれるようでその苦しさをうまく表現している、などと感心している余裕などない。道は幾つも折り重なるように曲がりくねっていて、足取りは重い。息は切れ、荷物が肩に食い込んだ。
いつまで続くだろうと思っていた九十九折りの道は、目の前で階段に変わった。どうやら歩行者はこの先階段を行くらしい。
階段かよ…。ため息が漏れる。それほどこの坂は急だということか。

長い長い階段を、どんぐりの涙で頑張る。やっとのことで登り切った先からは、灯り始めた小田原の夜景がきれいだった。

芦ノ湖まで到着したかったのだが、歩き始めが遅かった為になかなか到着できない。あと数kmと言うところで18時になる。山中はすでに真っ暗だ。通りかかった茶屋の脇にはトイレがあり、その前にテントを張るに十分なスペースを見つけたので、無理せずそこを寝床と決めた。辺りにはたくさん雪が残っていて、久しぶりの雪中キャンプに少し嬉しくなった。

テントに入り、ストレッチをすると、足の筋が伸びて気持ち良かった。今日はそれほど距離を歩いていないのに、やはり半日の登りが堪えているようだ。さすがは天下の剣。箱根の山はそう甘くないということか。

今日の歩行距離約26km。

写真1
春の陽気の小田原城。のんびりできた。

写真2
古い石畳を歩く。ちょっぴりタイムスリップ。

写真3
箱根の難所。どんぐりの涙。

2 件のコメント:

  1. 相変わらずの健脚ですね。
    もう今頃は箱根を越えているころだと思いますが、今日あたりは、富士山を観ながらの旅になっているのではないでしょうか?
    ナカ~タさんが、私の翌知っている景色の中を歩いて旅しているのを想像するとなにか不思議な気分になってきます。
    これからもがんばって下さい。

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  2. フジ山さん

    箱根はやっぱりきつかったですね~。
    さすが天下の剣ですよ。

    そして静岡長いです。
    今日も静岡脱出出来ず…

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