2010年2月26日金曜日

歩56日目 静岡県?郡新居町

天候 晴れ
気温 6時 12.3度(室内)
   17時 17.2度

「さて。いよいよ厳しくなってきたぞ」

天竜川に架かる長い長い橋の上を歩きながら、僕は自分に聞こえるように独り言をつぶやいた。
東京から京都まで。旧東海道を歩く今回のステージ。予定を大幅に遅れていた。

日本橋から三条大橋までは距離にして約500km。1日40km歩く計算で、13日間を予定していた。しかし8日を終えた時点で、まだ全体の半分しか来ていない。残りは5日。1日50km以上歩かなければ到着しないことになる。

本当に行けるか?
弱気な考えが頭に浮かぶ。しかしそれをすぐに否定する。そんなものはやってみなければわからない。行ける所まで行こう。やるだけやってみよう。

強く照りつける日差しにじっとりと汗をかきながら、いつもより早い歩調で橋を渡った。

8時00分。起床。泊まり客は僕ら3人しかいない。広い部屋を貸し切りだ。
テレビでは朝の連続ドラマ小説。話はさっぱりわからない。前回見たのは確か岩手だったはず。今の僕は世間からかなり遠い所にいる。

朝食を食べたら、宿のお母さんと一緒に浜辺に山菜を採りに行った。昨日の晩、話の流れで何故か午前中に山菜を採りに行き、昼にうなぎを食べに行く。そういうことになったからだ。僕はこれからの工程を考えて逡巡したが、たまには羽をのばすのもいいかと思い了承した。地元で有名な美味しいうなぎ屋だという話に釣られただけかもしれない。

浜辺で1時間ほど山菜を採る。砂に隠れた小さな葉を探し、スコップで掘り起こす。単純だけど、楽しい作業だ。皆で買い物袋ひとつ分くらいになった。天ぷらで食べるのが美味しいらしい。僕は大きめのものを2、3選び、残りはあげた。生でも食べられるらしいので、どんな味がするかくらいは知っておきたい。

そのままの足でうなぎ屋へ向かう。久しぶりのうなぎはとても美味しく、僕はすっかり無言になってしまった。たまの贅沢もいい。

宿に戻り、お母さんに挨拶をして車に乗り込んだ。大変楽しい宿だった。機会があればぜひまた訪れたいと思える。そんな場所だった。

車で磐田駅まで送ってもらう。昨日ここから車に乗ったので、ここから歩き始めなければならない。
オーナーさん達にお礼をいい、握手で別れた。彼らは東へ。僕は西へ。それぞれ向かわなければならない。
「また函館遊びに行きますよ」
それがいつもの挨拶だった。

13時00分。磐田駅から歩き出した。半日たっぷり遊んだので、太陽は高い位置にある。今から歩いてどこまで行けるだろう。行けるだけ行こう。天竜川は、もう目の前だった。

17時00分。浜松到着。大きな町だ。旧東海道も国道152号から257号と広い道をつなぐ。当時の面影はどこにもないが、それだけ時代が移ろったということだ。

22時00分。舞阪到着。巨大な旅館が立ち並ぶ弁天島とは対象的に、夜の浜名湖は静かで暗い。照らしだされた紅の鳥居だけが浮かんで見えた。

23時00分。新居到着。その昔、海とは繋がっておらず淡水だった浜名湖も、地震で陸が切れ今の形になったという。その浜名湖をいくつかの橋を渡り越えた。

新居の関所へ行く。関所の建物が今も残っているのはここ新居だけである。関所近くのスペースにテントを張る。
もうすぐ日が変わる。テントに入ると雨が降りだした。間一髪。予報よりも早く降ってきようだ。明日は1日雨らしい。久しぶりにカッパを着て歩く事になりそうだ。

今日の歩行距離約33km。

今日の通過宿場町

浜松宿
舞阪宿
新居宿

残り宿場町数22

写真1
遠州の砂丘を歩く。犬は大はしゃぎ。

写真2
うなぎ。うまい。

写真3
ライダーハウスの前で記念撮影。4人と2匹で。

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