2010年2月9日火曜日

歩39日目 福島県双葉郡大熊町

天候 晴れ
気温 7時 0.3度
   17時 6.6度

春。
その言葉を今日は何度口にしただろう。
10?20?
いや、そんなもんじゃない。きっと100は優に超えている。

暖かかった。うららかな日差しがあった。朝は0度ほどだった気温が、太陽が空高くのぼるに連れ、気温もぐんぐん上がっていった。昼にはなんと10度にもなっていた。

5日前の朝、マイナス12度の中にいた。全てが凍っていた。指先の感覚をなくし、股間に手を突っ込みながらテントを撤収していたというのに、今は10度もある。その差実に22度。それはもはや僕にとって春の訪れだった。

5時00分。起床。仮眠を取っているトラックのアイドリングがうるさくて眠れないかと思ったが、寝袋に包まった瞬間朝だった。気付いた時には5時だった。靴下を履かず、長袖のTシャツだけで寝袋に入ったが、全然寒くなかった。

7時10分。出発。晴れている。風もない。今日も国道6号をひたすら南下。
昨日北海道の友人からメールがあって、北日本の日本海側はどこも低気圧の影響で荒れた日が多いのだという。太平洋側を選んで正解だったね、と書かれていたが、まったくその通りだと思った。

11時30分。南相馬の道の駅に到着。気温はすでに10度近かった。冬装備を解除したので、冬用のジャケットではなくカッパの上に変わっていたが、それでも気温が上がるにつれ薄着になっていった。朝の段かいでグローブを外し、ネックウォーマーを取った。さらにビーニーまで脱いだけどそれでも暖かく、ついにはダウンのインナーまでも脱いでしまった。長袖のTシャツにカッパという軽装。これを春と言わずして何と言おう。

12時00分。スーパーマーケットの弁当で昼食。表のベンチに座って食べたる。まるでピクニック気分。

今日の歩調はのんびりしたものだった。こうも暖かいと気分までのんびりしてしまう。先を急ごうとする気持ちもあるが、焦って歩いても仕方ないよ、もうひとりの僕がそう問いかけてくる。

感じる匂いがすでに春のそれだった。冬の匂いではなかった。小鳥のさえずりが聞こえた。のんびり気持ち良く歩いた。休憩時には、温かいコーヒーよりも冷たい紅茶だった。

17時00分。今日も夕日の中を歩いた。北海道では17時にもなれば足元が見えず、ヘッドライトが必要だった。だいぶ日が長くなったものだ。
それでも18時を過ぎると確実に夜になり、見上げた空に今日もオリオン座を見た。

20時00分。あと3kmほど歩くつもりだったのだけど、国道脇にパーキングスペースがあって、その奥に小さな公園があった。さらに奥には沼があり、鏡の様な水面に星が浮かんでいたから、ここにテントを張った。あと3kmのうちにいい野営場所があるとは限らない。冬の北海道のように雪を踏めばどこでもテントを張れるというわけではない。それは直感のようなものだ。

ゆっくり歩いたおかげで足の裏はさほど痛くなく、体力的にもまだ余裕があった。それでもやはりテントに入るとほっとする。気温はまだ3度近くあり、いつもは真っ先に寝袋を出して膝の上にかけるのだけど、今日はそれさえしなかった。

夕食は、味噌雑煮とわさび菜と桜えびのサラダ。札幌で食べた京都の味を思い出し、味噌雑煮を作った。白味噌がないのでインスタントの味噌汁に少し砂糖を入れて甘くしたのだけど、さすがに京都の味とは似つかなかった。まぁそれはそれで美味しかったのだけど。さらに茹でたての餅を、醤油、生姜、砂糖、酒の調味料で食べた。水沢の姉妹が教えてくれた食べ方なのだけど、びっくりするくらい美味しかった。生姜と餅が絶妙だった。
サラダはちぎったわさび菜に桜えびをまぶし、潰した梅干しに醤油、ごま油を混ぜてドレッシングにした。梅と桜えびが絶妙だった。
味付けはいつも試行錯誤。もちろん美味しくないときもあるけれど、手持ちの中からあれこれ考え、なんとかやりくりするのが旅の食事の楽しみなのかも知れない。

今日の歩行距離約42km。

写真1
通りかかったグラウンドで。朝も早くからパークゴルフ。玉を衝く音と笑い声。元気が一番。

写真2
匂いも春。

写真3
17時の空。確実に日は長くなっている。

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