2010年2月14日日曜日

歩44日目 千葉県流山市

天候 小雪
気温 6時 14.3度
   17時 5.8度

僕は、真夜中の国道を歩きながら昔読んだ本の事を思い出していた。

「真夜中のピクニック」
そんな題名だった。著者は恩田陸。高校生達が、学校の行事で80kmの道のりを夜通し歩き抜く。そんな内容の青春群像小説だった。

その時の僕はひとりで90kmの道のりを夜通し歩いていて、小説の内容とは似ても似つかなかったけど、こんな時に昔読んだ本をふと思い出してしまうのだから可笑しかった。

気づいた時には遅かった。ゴールまでひたすら国道を歩けばと思っていたから地図をろくに確認しなかったのもいけなかった。僕は、土浦バイパスに足を踏み入れてしまった。
後戻りするには来過ぎていた。バイパスを外れるには道がはっきりしなかった。余計な時間を消費する訳にはいかない。どうする?行くしかない。覚悟を決めた。

バイパスは次第に高速道路のようになっていった。始めは歩道スペースがあり、猛スピードで駆け抜けるトラックの風圧をなんとか耐えながら進めた。しかし高架道路になった時点でついに歩道スペースがなくなってしまった。
諦めた。ガードレールを跨ぎ、土手になった部分を足を滑らせながら下りていった。頭上を走るバイパスに並走して農道があり、そこを歩いた。この先どこまで並んで歩けるかわからなかったが、周りを見ても田んぼしかない。かろうじて左手に土浦の町の灯りが見えるが、そこまでかなりの距離があった。
祈るような気持ちで農道を進んだ。何度か道が途切れたが、その都度バイパスに上がる階段を見つけて切り抜けた。

信号機を見つけた時は嬉しかった。やっとバイパスが終わったのだ。約2時間。奔走してしまった。

3時00分。ローソンに立ち寄り休憩する。暖かい店内に入るとほっとした。夜が深まるにつれ気温が下がり、その時は1度まで下がっていた。歩いていても肌寒さを感じるほどだった。買い物がてらお湯をもらい、熱いコーヒーで目を覚ました。

4時30分。牛久市に入る。マンションが立ち並ぶ。朝の気配を感じる。新聞記者のバイクが町を縦横無尽に走り回っていた。

5時00分。マクドナルドに入り長い休憩をとった。重い荷物を背負って90kmを通しでは歩けない。途中で少しリセットする必要がある。
温かいコーヒーにマフィン。ブログを書いて30分の仮眠。3時間、ゆっくり体力を回復させた。

8時00分。再出発。店を出るとすっかり世が明けていた。朝の車が走りだしている。

9時00分。龍ケ崎市に入る。62km地点。左に牛久沼が広がる。

10時10分。藤代大橋を越える。66km。まばらだった家が急に密集しだす。

11時10分。取手市に入る。70km。残り20km。かなり足にきている。膝が少し痛む。

12時00分。利根川を越える。長い橋を渡ると首都圏に入ったと実感する。

14時40分。柏駅前に到着。82km。ここから国道6号を外れる。残り10km。あと少し。しかしここでエネルギーが切れる。足がとたんに出なくなる。荷物を投げ捨て道端に座り込んでしまった。ハンガーノックだろうか。まずい。荷物を軽くするために必要最低限の食糧しか持っておらず、行動食は全て食べてしまっていた。次のコンビニを目指し休み休み歩く。何か口にしなければいけない。チョコレートだ。チョコレートがいい。あの暴力的に血糖値を上げる物体。あと10kmなら板チョコ1枚あれば十分だ。
コンビニで板チョコを買う。その甘さに疲れを忘れられる。チョコレートを食べ、少し休むとまた足が出るようになった。

17時10分。たどり着いた。92km。29時間。長い戦いだった。設定時間内に歩ききれた。足は、なんとかもってくれた。

アパートに着くと部屋に明かりが付いていた。なんだか嬉しくなって、僕は勢い良くドアを開けた。

6泊7日、仙台・流山ラリーが終わった瞬間だった。

今日の歩行距離約52km。

写真1
バイパスを下りる。行くか、戻るか。答えはひとつ。

写真2
利根川を渡る。首都圏に入る。

写真3
無事ゴール。ラリーお疲れ様会が僕を待っていた。最高の時間。

2 件のコメント:

  1. お疲れさまです^^こんばんは〜。
    リーチング佐多岬に小生も参加させてもらおうかと
    思って、密かに、日本橋に行こうかな(会社さぼって)なんて
    思っていたのですが、今日会社行ったら、社長命令で
    京都〜静岡出張となりました^^;
    ま、こちらの勝手な思い込みなので、
    なか〜たさんには関係ないのですが、
    なか〜たさんのブログを楽しみにしてる小生にとっては、
    なかなか残念という感じです。
    例え一駅でも・・・・なんて思っていたのですが
    ま〜こればかりはしょうがないですしね〜^^
    でも、
    これからも応援してます。そして、
    旅の軌跡も楽しみに読ませてもらいます。
    まずは、ご無事で、
    そして、素敵な春が訪れることを祈っておりますです。はい。
    たまには休息も必要です。
    ではまた!
    ご安全に!(←工事現場でこの挨拶よくするそうです。)

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  2. タイ象さん

    それは残念です。
    でも密かに思っていていただいただけでうれしい限りです。
    コメントだけでもいつもすごい励ましになっています。
    ありがとうございます。

    無事に春を迎えられるようこれからもがんばります。

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