2010年3月14日日曜日

歩72日目 京都府京丹後市

天候 雨のち晴れ
気温 7時 10.8度
   18時 9.9度

旅で知り合った仲間は、押し並べて自由だ。

皆自分のやりたいことをしている。とてもストレートに。
ひとつの場所にこだわる事をせず、フットワークが軽く、やらない理由を並べない。そんな旅仲間に会うたびに、僕も負けていられない、もっと自由に、そんな気持ちになれる。次の目標に向けての活力となる。いい刺激を受ける。とても素敵な関係だ。

6時00分。起床。小雨が降っていた。だが、それは嬉しい雨だった。低気圧に伴う前線が通過するため、雨はいずれ降るだろうと思ってはいた。昨日の夜の予報でも午前中に傘マークが付いていた。しかし今の時間ですでに雨が降っているということは、きっと前線の通過が早まったのだろう。低気圧の後には高気圧が待っている。きっと雨は早い段階でやむ。そう確信した。

7時10分。出発。雨は弱いながらも降り続いていた。友人はカッパを着たが、僕は着なかった。雨が降りだしたのがまだ夜が明ける前だったから、じきにやむと予測したのだ。果たして予測は的中した。歩き始めて1時間としないうちに雨はやんだ。もう大丈夫だ。友人もカッパを脱いだ。

9時20分。網野駅に到着。待合室へ行くと、友人の女の子がすでに僕らを待っていた。久しぶりの再会なのだけと、不思議と久しぶりな感じがしないのは、旅で知り合った仲間だからだろうか。そんな彼女は、嬉しい事にリーチング佐多岬の12人目となってくれた。

少しの近状報告をしたら、いよいよ網野駅から夕日ケ浦に向けて歩きだす。約8kmの距離を、3人で、ゆっくりと、歩いた。

空は次第に明るさを取り戻し、歩く路面も乾き始めていた。周りの山々から届けられる濡れた樹木の匂いが好きだった。歩道があれば横並びに。なければ縦一列に。軽い峠を越えながら。お互いの未来を話しながら。

11時20分。木津温泉駅に到着した。待合室に入り、ベンチで休憩。あと20分ほどで夕日ケ浦に着く。着いてしまう。僕はそれを少し寂しく思う。そこに到着すれば、もう3人で歩く事はない。そして、京都市から一緒に歩いて来た友人とも別れる事となる。彼は夕日ケ浦をゴールとして歩いてきた。だから明日になれば京都市に帰って行く。そうなればまたひとりで歩かなければならない。
彼とは1週間も寝食を供にし、長い道のりを歩いてきた。雪の峠も凍える夜も、ふたりというのは何より心強かった。1週間という日数は、すぐにその存在を消せるほど短いものではなかった。

12時00分。夕日ケ浦に到着し、女の子おすすめのカレー屋で昼食にした。お洒落な店内にはボサノバが流れ、今が旅の途中だという事を忘れてしまいそうになる。地元で有名だというカレーはとてもおいしく、さらには彼女が代金まで支払ってくれた。彼女の心遣いに僕らはありがたくご馳走になった。

夕日ケ浦は温泉地だ。ここまで来て温泉に入らない理由はない。ましてや6日ぶりの湯だ。お願いしてでも入りたい。
そんな風呂に飢えた僕らを救うかのように、女の子は一枚のチケットをくれた。外湯の入浴チケットだった。僕らには彼女が神様に見えた。

13時00分。待ちに待った温泉だ。貰ったチケットをありがたく使わせてもらう。実に6日ぶりの風呂。それは、北海道で樹立した記録に並ぶ日数だった。

友人とふたりでふやけるまで湯船に浸かっていた。気持ちが良すぎて、幸せのため息が止まらなかった。3回洗った髪の毛は、乾かすと3倍のボリュームになった。全身の汚れが落ち、体が軽くなったような気がした。
風呂から上がったら休憩所でのんびりした。3人で話しをしたり、うとうとしたり、テレビを見たり。

17時30分。やっと温泉を後にし、日本海を見に行った。海に沈む夕日が見られたらと思ったが、残念ながら曇り空にそれは叶わなかった。だけど僕は北海道以来の日本海に満足だった。日本海を見たのは1月中頃の小樽が最後だった。やっと京都で再会出来た。それは、僕にとって長い道のりだった。

19時00分。女の子が住む一軒家にお邪魔した。何人かでシェアしていて、空いている一部屋を僕らに貸してくれたのだ。スーパーマーケットで買ってきた食材で夕食にし、ビールを飲みながら話をした。お互いのこれからの旅計画に時間はあっという間に過ぎ、気付けば日付が変わる頃まで話をしていた。

それぞれがそれぞれの旅を思い描いていて、そしてそれはどれも羨ましくなるほど自由だった。お互いがお互いに刺激を与えあえる。それは、とても素敵な関係だった。

今日の歩行距離約15km。

写真1
網野駅で再会。今度はどこで再会するのか。いつも楽しみだ。

写真2
のどかな山間部を歩く。リーチング佐多岬11人目と12人目。

写真3
日本海の前で記念撮影。バックパックサンドイッチ。

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