気温 6時 17.0度(室内)
17時 18.5度(室内)
「いい天気だね」
「うん。めちゃくちゃいい天気だ」
少しだけ開けた窓から顔を突き出し、アスファルトを黒く濡らす雨を眺めながら友人とそんな冗談を言い合った。
それはとてもいい天気とは言えなかった。いい天気とは、空一面に青が広がっていて、今日1日何の心配もいらない、そんな天候を言うはずだった。
手を伸ばせば届きそうなほど低く垂れ込めた雲が恨めしく、友人と冗談でも言わなければやりきれなかったのだ。
今日も連泊だった。こんな雨の日に出発するのは、いくらなんでも酷だった。ふたりで歩けるといっても雨に打たれながらでは、それは旅というよりも修行といったほうが的確だった。
部屋の中で何をするともなく時間を持て余していると、3月末に佐多岬まで到達するという目標がするすると離れて行くのを感じた。このままでは手を伸ばしても届かないところにいってしまう。焦燥感が胸を突いた。しかし、重い腰は上がらなかった。
数日は友人と歩くのだし、もう無理をするのは止めようと思ったのだ。京都到着が遅れた時点で、すでにスケジュールに余裕がなくなっていた。これから毎日40km計算をして、なんとか到達出来るだけの日数しか残されていなかった。そんなタイトなスケジュールに友人を巻き込む訳にはいかないし、何より僕自信が大変だ。
もちろん前には進む。だけど行ける範囲で行こう。日々を楽しみながら、一歩ずつ。
それは、三条大橋に辿り着いたときに感じた素直な気持ちだった。少し楽に構えてみるのもいいじゃない。複雑に絡み合った毛糸のような気持ちをひとつひとつ解きほぐしていくと、最後に残った答えは、そういう事だった。
音もなく離れ行く3月末を、僕はただ無言で見送った。
今日の歩行距離0km。
写真
最後の晩餐。日替わりで友人が遊びに来てくれる。ありがたい。
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