2010年3月31日水曜日

歩89日目 大分県豊後高田市

天候 晴れ
気温 7時 2.5度
   17時 10.9度

桜が満開だった。
大分の桜は、今まさに見頃を迎えていた。

桜前線は1日に約30kmのペースで北上するという話を聞いたことがある。僕は今1日40kmのペースで南下している。お互い北と南からやってきて、ちょうど重なったのが大分という事だった。僕はさらに南へと向かい、桜は北へと向かう。

先日、まだ山口辺りにいる時、実家に電話した。現在地の報告をたまにしている。電話に出たのは母親だった。
「いつ頃帰ってくるの?」
そう言われ
「うん。たぶん4月の下旬と思う」
そう答えた。母親は
「じゃあ桜が咲く頃ね」
そう言った。

そうか。僕は桜前線とここで分かれるが、また北の地で再会するのだ。なるほど桜も旅をしているのかも知れない。そう思うとなんだか愉快な気分になり、この満開との再会が今から楽しみになった。

5時20分。起床。コーヒーを入れる。朝に飲む一杯のレギュラーコーヒーが唯一の贅沢だ。日中は魔法瓶に詰めたお湯でインスタントのコーヒーを飲んでいる。外で飲むコーヒーはインスタントでも実にうまいのだが、やはりその差は歴然だ。

コーヒーを飲みながら出発の準備をしていると、もうシャッターの開く音がした。まだ6時。この道の駅の朝は早いようだ。テントから出て挨拶をする。
「寒くなかったかい?」
「大丈夫でした」
確かに気温は2度と低かった。それでも冬用の寝袋はさすがTシャツだけでひとつも寒くなく、快眠だった。
「兄ちゃん、どこまで行くんだい?」
鹿児島。北海道。歩き。元旦。真冬。野宿。それらの単語はもう何度口にしたかわからない。
「兄ちゃん馬鹿だな」
そう言われて笑うしかなかった。でもその単語も何度耳にしたかもわからない。うん。もう慣れてしまったよ。

6時50分。出発。空はもう青い。だいぶ朝も早くなったものだ。いざ道の駅から出ようとした時だ。
「兄ちゃん!」
手招きされた。朝の挨拶の人だった。トラックからコンテナを下ろしながら、その中にある一袋を手渡してくれた。バナナだった。大きくてきれいで見事なバナナ。
「ありがとう」
「頑張ってな」
清々しい朝だった。

8時20分。今日も国道10号を行く。小さな橋の上で県境をまたいだ。福岡県から大分県へ。これで残すは宮崎県と鹿児島のみだ。

10時00分。宇佐市に入る。今日は朝から膝の調子が良い。すでに12kmを歩いた。そして大雑把に読んだ地図では今日で別府まで行けるはずだった。しかしそれはあまりにも自分都合で距離を見積もっていた事を思い知らされた。出てきた標識には別府まで56kmとあった。おいおい、なんて事だ。とても今日中には着かない。というか、頑張っても明日の昼は過ぎるだろう。せっかく別府で温泉を楽しもうと思っていたのに、ずいぶん風呂が遠退いてしまった。

12時00分。昼食にした。スーパーマーケットでパンと冷たいコーヒーを買う。日差しが強く、乾いた喉には魔法瓶のインスタントよりも冷たいコーヒーがおいしいかった。

14時20分。宇佐神宮を通りかかる。せっかくなのでさらりと観光。平日とあってか人もまばらで静か。お参りは、二礼四拍手一礼というのが宇佐神宮流だった。僕もそれにならって四拍手。四回も叩くなんて、初めてだった。

19時00分。低い峠を越えると中山香の町に到着した。そしてこの先また峠になる。もう空は暗く、今日はここまでとした方が良さそうだった。とりあえず駅へ向かう。水を持っていなかったのだ。到着した駅は無人ではなかったが、水は確保出来た。

待合室でブログを書き、21時になったところで駅舎近くのスペースにテントを張った。いわゆるゲリラキャンプというやつだ。一晩だけひっそりと過ごさせてもらう。

時刻表で確認した始発は6時過ぎだった。それまでには撤収しよう。夕食を済ますと、いつものように襲われる睡魔に抗う事なく寝袋に包まった。

今日の歩行距離約42km。

写真1
満開。そしてすれ違い。

写真2
静かな宇佐神宮。二礼四拍手一礼。珍しい。

写真3
かっこいい電車。よく走っている。名前はソニック。

2 件のコメント:

  1. もう大分ですか。いよいよゴールが見えてきましたね。東京も桜が満開で見頃です。

    ゴールまでに曲が仕上がるといいけど、間に合わないかも。。。

    返信削除
  2. KXさん

    曲ありがとうございます。
    素敵な曲で、すごく励みになります。

    返信削除